賃貸が分譲を超える日はくるだろうか?

建築分野の中でも、最も重要で、最も人間の生活に密接したモノ。
それはずばり『住宅』だと僕は考えます。
もちろん、建築家でもない僕には格言めいた偉そうなことは言えませんが、かのル・コルビジェもこのように言っています。
『住宅は生活の宝石箱。幸せをつくる機械だ。』
僕もそうあるべきと思います。
でも、日本の住まいの実態はどうでしょう?
まず、大都市圏ではそもそも住宅を持家として持てている人の割合は決して高くありません。たとえば、東京だと44.8%、大阪だとかろうじて半数を超えて51.9%。
逆を言えば、その他は借家であるということです。
ちなみに持家比率がもっとも高いのは富山県の79.6%。ダントツです。
また、持家であったとしても、それが本来あるべき姿としてのゆとりだったり、快適なものであるのかといえば、必ずしもそうとは言えないのが日本の住宅事情ではないでしょうか?
賃貸においては言うまでもなく、
「賃貸住宅なのだから、分譲よりはグレードが低くて当然」
「賃貸住宅は短期的なものだから快適性は追及しない」
「賃貸住宅とはオーナーの投資物件であり、回収を遅らせる余計な設備は不要」
などというような考えが根底に根強くあるように感じています。
分譲>賃貸という構図。
僕は生まれ育った頃からずっと公団住宅、学生時代のアパート、社宅、民間賃貸という風に、ずっと持家とは縁のない生活をしているから、賃貸住宅についてはよくわかります。
一級建築士でありながら、お恥ずかしい限りですが…(苦笑)
これから始まる仮設住宅の本格的な建設。
そして、その先にある復興に向けた新たな街づくり。
その街を形成する住宅には、戸建もあり、集合住宅もあり、分譲あり、賃貸あり、きっと様々な形態で住宅が造られていくのだと思います。
できれば、その時に、これまでと同じ既成概念で“再生”するのでなく、住宅そのものの概念に対して、特に多くを占める「賃貸」というカテゴリーに対して、その概念のパラダイムシフトが起きればいいなと思っています。
例えば、
『ずーっと住みたい賃貸住宅!』
『友達に自慢したくなる賃貸!』
『他とは違う個性的な賃貸住宅!』
みたいなコンセプトが沢山出てきたら、ワクワクしませんか?
住宅というものが、コルビジェの言葉のとおりにあるべきだとすれば、こういう発想は必然ですよね。
前置きが長くなってしまいましたが、昨年からマテリアルワールドがお手伝いさせて頂いている『女性向け賃貸集合住宅プリマシリーズ』は、今後の賃貸住宅の一つのスタイルを示してくれているように感じています。
ゆったりとしたスケール感と開放的な天井高、充実した設備グレード、個性的かつ景観に調和のとれた外観、安心安全なセキュリティー、腰壁には無垢材の板張りを施した柔らかな内装、しっかりとした建具、などなど、毎回どの物件を見せて頂いても、前述したような「賃貸だから…」というような部分がどこにも見当たりません。
ちょっとした分譲物件よりもイイ建築資材をチョイスしています。
エアコンだって、照明器具だって、ちゃんとインテリアの雰囲気を損ねないものが最少からセレクトされています。
(時々見たことありませんか?それは無いだろう!って照明器具がぶら下がった賃貸アパート…)
という訳で、そのプリマシリーズから横浜市に新たに完成した物件をご紹介します。





これだけのグレードでも決して手の届かないような高級賃貸物件ではありません。むしろ安すぎ!
これから、日本の賃貸住宅の質が見直され、そこから沢山の幸せが生まれるようになったら、素敵ですよね。

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