~ボルドーグレージュが出来るまで~ クリエィティブ篇(最終回)

~ボルドーグレージュの出来るまで~ クリエィティブ編(最終回)

 

ようやく製品化の目途がついた頃、同時に検討を進めていたクリエイティブデザインの方も佳境を迎えていました。

 

マテリアルワールドでは、ブランドとしての世界観、ストーリーの大切さを重要な柱の一つに掲げています。単に建材を提供するだけの会社ではなく、本当のゴールは幸せを創造すること。建材のその為のツールであり、ワクワク・ドキドキという見えない付加価値を添えて発信しています。

 

前提として、商品そのもののクオリティーが高いのは当然。

設計寸法やディテール、施工性、物流効率の最大化、ロスの少ないモジュールなど、技術的な側面は徹底的に深堀して、検証を繰り返し商品化しています。今回は特にパネルのV溝寸法、サネの形状、1梱包当たりの乱尺設定、施工時の釘打ちテストなど、妥協せず何度も検討を繰り返し詰めていきました。

釘打ちテストの事例(大工さんの意見を聞きながら実施しています)

 

しかしながら、こうした技術的側面よりも、お客様が欲しいのは『満足』『幸せ』です。

自動車でも、燃費、トルク、馬力、エアバック、自動ブレーキetcなど、スペックを語りだしたらきりがありません。

そこには難しい技術論より、「いいね!」と言いたくなる楽しさやストーリーが詰まっていることの方が判りやすいはずです。

ユニークでオンリーワンな世界観を創り出す為には、クリエイティビティーが重要です。

どの業種であれ、お客様を楽しませるサービス業としての自覚と、エンターテイメント性を持つことが大切だと僕は考えています。

 

マテリアルワールドは、この部分をとても大切にしています。

創業以来、お客様に毎年欠かさず届けているエイプリールフールカードなどは、お客様に笑って欲しくて、その笑顔が見たくて、むしろ本業以上に力を入れていたりします。(笑)

お客様から「バカだね~(笑)」と言われるくらいが最高の誉め言葉だったりします。

 

「テキサスロックンウォール」「クリックN34°」「ブルックリンランドリール」など、マテリアルワールドのアイテムたちのネーミング。どれもユニークですが、単に耳あたりの良いネーミングにしているのではなく、一つひとつにきちんと背景・意味があります。

 

今回のボルドーグレージュというネーミング。

赤ワインをイメージさせる深いメルパウの褐色の芯材、薄く退色したシルバーグレーの層が重なり、見る角度によりベージュとグレーの中間のような、なんとも言えない艶のある質感を産み出しています。グレーとベージュから生まれるグレージュ色。また、人の手による3か月以上も丁寧に天日干しをしてエイジングさせるアナログな工程も、時間こそ短いもののワインを熟成させる工程にもなぞらえています。

完成したパネル材は、ヴィンテージのワインにも負けないくらい、上質でオンリーワンのアイテムであるというマテリアルワールドとしての想いも込めています。

 

ロゴはワインのラベルをイメージしてパッケージデザインをしました。

 

この商品の特殊な製造工程の関係上、いつでも大量に生産できるものではありません。

一回に生産できる量は限られています。

また、“歩留まり”も良いとは言えません。

原材料を100としてスタートした場合、キルンドライの工程での歩留まり、パネル材に成形した時の歩留まり、天日干しを行った時の歩留まり、表面品質を確認し、長さカットして梱包する時の歩留まりなどを経て、最終的には60~70%くらいまで低下していきます。

それでも、ボルドーグレージュが低価格で実現しているのは、現地で頑張ってくれている工場メンバー、スタッフ、協力会社の皆さん、また全面的にバックアップしてくださっている新木場の木材会社さんのおかげです。

誰でも簡単に商品化出来るものではありません。

というか、たぶん真似出来ないと思います。

ですから、僕も開発の裏側まですべてオープンにしてこのブログでご紹介してきました。

 

 

さて、いかがでしたでしょうか?

 

ふとしたきっかけから、新商品の開発・製品化に至るまで、普段マテリアルワールドがどのように活動しているか、その途中にどんな苦労や失敗、トラブル、紆余曲折があるのか、ボルドーグレージュの出来るまで例にして、連載でお伝えしてきました。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!

 

仲間と一緒に、沢山の時間と想いを込めてつくったボルドーグレージュ。

今までにない、ちょっと変わったパネル材。

素敵な空間創りのお手伝いが出来る一押しの自信作です。

これをきっかけに、少しでもボルドーグレージュ、そしてマテリアルワールドに興味を持って頂けたならうれしい限りです。

 

終わり    堀部 朝広