目地はデザインのリズム

マテリアルワールドでは主に建築資材の中でも「仕上材」というカテゴリーに入るアイテムをその種類を問わず幅広く取り扱っていますが、この仕上材、例えて言うならいわば「化粧」のようなもの。実際、化粧材なんていう言い方も一部の材料ではいいますが、その化粧材をキレイ見せるために重要なのが「目地」という存在。洋服で言えば縫目、ステッチのようなものでしょうか?ちょっと脇役ですけども、今日はこの目地について少しだけ。
ここ最近、僕が一番気になっているのがこの「目地」です。
建築業界では一般的ですが、部材と部材の接合部の隙間、あるいはその部位に使う材料のことを意味します。各部材の寸法が決まっているということにも起因しますが、タイルなどはこの目地があることで、タイルの収縮膨張からくる剥離を防止したり、コンクリートでは表面の割れを防ぐというきちんとした機能も合わせ持っているのです。
その目地のパターンとしては多種あって、イモ目地、馬目地、縦通し目地、四半目地、縦馬目地などいろいろ。それぞれのネーミングのゆらいまではハッキリわかりませんが、建築用語って面白いんですよね。
今度、業界用語の面白いやつ、ご紹介します。
話を戻して、目地。
レンガなどは積み方でもイギリス積み、フランス積みというものがあります。フローリングではヘリンボーン(ヤバネ張り)というのもあります。
目地が直接ハッキリとは見えてこないものを、ねむり目地とも言います。
施工方法に関しても幾つかあって、シングル目地とか江戸切り目地なんて言うのもあります。
とまあ、技術的な詳細はさておき、色々あるわけです。普段全体を見てるので部分にだけ着目しないと目に入ってきませんが、この目地の取り方によって結構、いやかなり建築仕上の印象が違ってくると言っても過言ではないかもしれません。同じような資材を仕上材に用いていても、目地の幅、色、深さ、素材、割付パターンなどによって違った表情になるので、設計も手を抜けません。材料の基本的な寸法や求められる技術的なことを理解して初めて上手に割り付けが出来るようになる訳です。
建築では、例えばコンクリートの打ち放し仕上げのクラック誘発目地は機能もさることながらもはや完全にデザインの領域のものとも言えます。「Pコン」と呼ばれる丸いヘコミも割り付けをきちんと設計します。(ちなみにこれは型枠を止める金物の露出部を処理したもの)技術的、構造的な要因を満たした上でこの目地やPコンを設計していくのですが、そこには機能美の世界が存在しています。
これとは逆にクロスやペンキ部分などは目地を取らないのが普通で、ボード下地の目地などはパテ処理や寒冷紗(かんれいしゃ)を貼るなどして一体化させてしまう方が望ましいわけです。見せたり見せなかったり、いろいろと難しいものですね。(笑)
ちなみに、マテリアルワールドが扱う『トスカーナウェイ』もランダムな石配置のモザイクパターン目地があるのですが、通常見えるシート毎の接合部分の目地は他の部分と同化して全く見えなくなる優れモノです。

目地はファッションに例えて言うなら、ステッチでしょうか?
ジーンズのステッチがイエロー、あるいはオレンジ系の色でしっかりと見せているからこそジーンズな訳で、同じデニム素材でもスラックスのようにステッチを見せないと、なんだかそれはジーンズじゃないですよね。ここでの「目地」の役割、大きいわけです。
なんだか地味な「目地」ですけども、少し興味湧きましたか?
建築デザインにリズムを与える目地、まだまだ奥が深そうです。
次回またチャンスがあれば、この続きを。

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