湿式と乾式

最近はどの業界も本当に便利になりました。
ちょっと(かなり?)古い言い方ですが、どこを見渡しても「アナログ」から「デジタル」になって来ています。もうすぐテレビも「地デジ」ですし、車のもオートマしか設定していない車種がほとんどになりました。レコードからCDになった時も衝撃的でしたが、インターネットからのダウンロードが普通になり、そのCDすらもうなくなる時代が来るかもしれませんよね。
建築資材の施工の世界にも、このアナログ/デジタルに近い比較で、「湿式工法」と「乾式工法」という分類があります。
「湿式」とは、現場での作業を伴うようなものを主に指し、コンクリートを成型する、漆喰を塗る、タイル・石を貼る、外壁吹付け塗装するなどがそれにあたります。昔は全てこの湿式と呼ばれるものだけでした。
一方、「乾式」とは、予めカットされた部材を組み立てるだけ、塗装済みや仕上げ済みの部材を取り付けるだけというものです。例えば、ユニットバスなどはその最も有名な一例だと思います。ほとんどが工業製品です。
「デジタル」同様、この「乾式」の普及のお陰で、工事期間も短縮し、コストも下がり、現場の大工さんや職人さんの技量や経験に左右されることなく均一なものが出来るようになったのです。造る側にとってはめちゃくちゃ便利になりましたし、また使う側もメンテナンスがフリーだったり、楽になったりしている訳です。ローコスト住宅と言われるメーカーの家では、基礎のコンクリート以外、湿式工法のものがひとつもないというもの珍しくなくなりました。これってかなり凄いことです。
でも、「アナログ」の良さってまだまだ残っていますよね。
建築分野でも一緒です。ヨーロッパの古い石造りの建物、京都・奈良に代表される神社仏閣、中東のモスク、北欧のログハウスやハーフティンバー等々、それらが今でも素敵なのはまさにアナログ、いや湿式だからだと思うのです。年月を経ることで積み重なった味わいというやつです。以前勤めていた先では「経年美化」とも呼んだりしていましたが、まさにそれです。
このところ、日本も建築が少し元気になり、ビルも住宅もどんどん凄いものが出てきて、どれもデザインは洗練されてきていますが、乾式オンパレードの建築たちは、将来はどんな姿で街をつくっているんだろう?と時々不安になったりもします。乾式は便利ですけども、どこか薄っぺらい感じがしてしまうのが否めませんし、味わいというものは生まれにくく、むしろそうした発想は全くありません。たどり着くのは劣化だけ、つまり古くなったら新品に交換ということになるわけです。(出来るかどうかは別にして・・・)
マテリアルワールドでも様々な資材を取り扱っていますが、どちらかというとアナログ的な資材が多くなります。つまり、本物、天然素材、無垢材、というようなキーワードでくくれるようなアイテムです。
もちろん、マテリアルワールドでも乾式ジャンルの商品もありますし、乾式部材を否定している訳ではありません。ただ、「楽しい」と感じられるような資材を集めていると、自然とアナログ傾向になるようです。
今やアナログ資材が貴重な時代になってきているからこそ、これからもこのスタンスにこだわって行きたいと思っています。

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