灯りという素材

建築分野において、とても大切な要素の一つに「照明」というものがあります。この照明について、オフィスビルや店舗設計では非常に重要視されており、専門家によるコーディネイトなども珍しくありません。
僕は常々住宅の分野においても、この照明ということに関してもっと関心を持つべきだと主張してきました。残念ながら、以前勤めていたところではこの想いを具体化することは出来ませんでしたが、新築住宅であれば照明の設計も当然織り込むべきというのが僕の考えです。
一般的に「戸建分譲」「マンション」「注文住宅メーカー」と言われるところで新築住宅を手に入れる場合、そのほとんどが天井の部屋の中心部に「引掛けシーリング」と言われる後付け照明器具を設置する為のアダプターがセットされているだけではないでしょうか?家を購入された方が、家電量販店などで照明器具を買ってきて取り付けるというものです。
はじめから設置されているのは、トイレ、洗面、廊下、玄関等に部分的にダウンライトがある程度、あるいはそれすらないところもあるのを知っています。「照明計画」とは程遠い内容です。
時々「今なら照明器具付き!」なんて安い器具がセットされている分譲住宅とかありませんか?(笑)
ああ、なんて悲しい状況なんだろうと・・・。
せっかく新しく設計して建築するのだから、照明にも気を配ろうよ、と思う訳です。単にデザイン面だけでなく、光の温度によっては、リラックスしたり、緊張したり、いろいろと私たちの体に感じる影響も違ってくるのです。
オフィスや店舗が物凄く高い次元でこれらの照明計画に取り組んでいる一方で、なかなか住宅分野にはこの照明計画の大切さが浸透してこないように思えてなりません。例えば、飲食店でも料理がおいしく見えるように計画されていますが、お寿司屋さんとフランス料理店では当然その手法も異なる訳です。私たちが思っている以上に奥深いものがあります。
では、どういう照明がいいんだろう?ということになりますが、細かいところは別にして、「建築的に処理された方法」ということを僕は推奨します。間接照明として光源が直接見えない方法というのが多くなりますが、必ずしも間接照明ばかりではありません。ある一点だけを照らすピンスポット、壁全体を照らすウォールウォッシャーというものを使うだけでも、かなり違ってきます。
街で見かけたものを幾つか紹介します。

折上げ天井という一般的な処理方法です。天井面を明るくします。

壁面の足元を床から照らします。

装飾された壁の裏側に光源があります。

直接見える形ですが、キャンドルタイプをテーブルに並べるだけで雰囲気が違ってきます。

これは店舗なので変わっていますが、岩塩の柱の内側から照らしています。

壁の裏側から照らしています。上下に蛍光灯がついているだけです。

これも壁の上部に蛍光灯を見せない形で設置しています。

最後はホテルのロビーです。ステンドグラスの天井です。
どうでしょう。どれもオフィスや店舗、ホテルの事例ですので、そのままということは規模的に無理でも、工夫次第で住宅にもアイデアだけは使えると思うのです。それに、実はこれらのほとんどは光源自体は単純な蛍光灯だったり、白熱灯だったりします。特殊な器具は使ってません。ちょっと、交換作業が面倒ではありますが、1年に1回も交換してますか?照明器具の種類にもよりますが、普通2年に1回くらいですよね?だったらOKですよね??
どうでしょう?照明、灯りという形のないものも、十分建築素材の一部だとは思いませんか?ぜひ、機会があれば照明も楽しんで欲しいです。
マテリアルワールドとしては、外構用のソーラー充電式のLEDを扱っていますが、それについてはまた今度。

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