~ボルドーグレージュの出来るまで~ 海外生産開始篇
メルパウの高温乾燥処理材「リュックスウッド」の製造拠点がタイとマレーシア。
現地に日本人スタッフがいるのがタイ。しかしながら、高温木材乾燥が可能な特別なキルンドライ装置があるのはマレーシア。製造管理を考えるとタイですが、マレーシアで加工したものをタイに横持ちしなくてはならず、費用や時間のことを考えると非効率。現地へ行き、それぞれの工場の様子やメリット・デメリットを検討した結果、主にメルパウの製造を行っているマレーシアにて製造することとなりました。
キルンドライ前のメルパウ材
高温乾燥処理後のメルパウ材
特殊な高温乾燥が出来る大型キルンドライ装置
当然、この道何十年と木材加工を専門にしている現地スタッフの方も、木材を天日干しして色抜きさせたものを製品とするという奇抜なアイデア⁈に対して、呆れているというかびっくりしているというか、なかなか思うように積極的にはなってくれません。(苦笑)
まずは、その説得から始めなくてはなりません。日本でサンプル加工したものを持参し、いくつかのイメージ写真ややりたい世界観をビジュアルで説明しながらのスタートです。
その場では話を聞いてくれましたが、どこまで理解しているかは未知数です。
結局のところ、実際生産がスタート出来たのは、はじめに僕がマレーシアへ行ってから数か月が経過した後でした…。
さて、
マレーシアはご存知のように南国で赤道に近く、太陽が真上に昇ります。
日差しは強く、天日干しには最高です。
雨期はありますが、グレーに退色していくスピードは日本の倍以上。
それでも、最低3か月以上は干さなくてはならないという状況です。
当然、その間、雨も風もあり、様々な対策が必要です。
マレーシアといってもKLのような都心部ではなく、野生の猿!や牛!がいる田舎のエリアです。夜には猿がきて、パネルをひっくり返してしまったり、牛がきてパネルを壊してしまったりと、現地から聞こえてくるニュースは、「嘘でしょ?」というような、そんな話ばかり。(苦笑)
写真を見ると、猿が出てきてもおかしくない場所であることは伝わるかもしれません。(笑)
超高温での木材乾燥キルンドライ処理という最新のテクノロジーと、南国の強い太陽の日差しの下、3か月以上も天日干しをするという超アナログな製造工程を経て、このボルドーグレージュは出来ているのです。
そして、2度目の現地確認。
当初イメージした通りの「艶のあるシルバーグレー」になっていることを確認して、手応えを感じました。
間違いなくいける。
料理で例えるなら、日本の日差しでは弱火~中火の火力しかない調理。マレーシアの日差しはずっと強火の調理。美味しい中華料理のように、カリっと、サクッと調理するには強火が必要。このボルドーグレージュも、まさにそれでした。弱火でコトコトでなく、強火で一気に仕上げてしまうことが重要でした。
続く。