~ボルドーグレージュが出来るまで~ 国内試行錯誤篇
「最初からグレーに退色させたものを製品化して売る。」
言葉にしてしまうと、なんてことはないのですが、常識外れであり、未知の領域です。
新木場の木材会社さんの全面的な協力を得て、パネルのサイズにスライスしたものを天日干しするところから始めました。
すでに夏も終わりかけの時期でした。
スタートの様子。
敷地内にズラッと並んだパネル材。
近隣の方からも、一体何をしているんですか?と怪しまれる日々。
僕のアイデアに賛同してくれた社長さんと一部のスタッフの方以外は、皆さん懐疑的です。
「なんでワザワザ色を退色させるんだよ。上手くいくはずがない。良さがわからない。」
僕には直接言いませんが、そこに流れている空気は冷やかなものでした。(苦笑)
経過の様子。
天日干しをスタートしたものの、夏の日差しもやわらぎ、なかなか思ったように色が抜けていきません。
新木場だけでなく、自社のオフィスの屋上でも、パネルをズラッと並べて実験を開始しました。
こちらもなかなか色が抜けません。
当社のオフィスの屋上は共有スペースなので、しばらくして他からクレームが入り断念せざるを得ない状況に…。
新木場では継続して天日干しが継続していましたが、6か月経過しても理想とする色合いには行きませんでした。
漂白剤を使用して退色を促進させてみたりしたものの、当初見たイメージとは異なり、また薬品処理というプロセスは採用したくなかったので、我慢の日々が続きます。
そんな時に、
なんと、敷地内で外部業者の車が事故を起こし、天日干しをしていたパネル材を粉々にする事件が発生します!
上の写真のパネルを並べた壁面に車が突っ込むという信じられない事故。
苦労して数か月間実験してきたパネル材が…。(涙)
今だから言えますが、建物の外壁も、ぶつかった車も破損しているのですが、僕にとってはパネル材の方が断然重要でした!(心の声)
すでに、この頃には、開発のきっかけとなった住宅会社さんのモデルルームで採用してみたいということで試作品の納期も迫っていたので、顔面蒼白でした。
一部破損を免れたパネル材を継続して天日干しを続けたものの、日本の日差し、特に冬場の日差しでは弱くて、満足のいくグレー色にはならないという結論になり、メルパウを製材しているタイ・マレーシアへ行くことに…。
続く。