~ボルドーグレージュが出来るまで~ ひらめき篇
グレーに退色したメルパウのデッキ材。
しかも、聞けばグレーになるスピードが速い。
通常ならデメリットの要素。
しかし、表面はきれい…。
このメルパウのデッキ材は、「リュックスウッド」という商品名で流通しています。
寸法安定性が高く、灰汁が出にくいのは、乾燥工程の違いです。
このリュックスウッドに製品化する工程で、一般的な木材の乾燥工程(70度程度のキルンドライ)と異なり、約200度超の超高温乾燥(サーモウッド)と呼ばれる特殊なキルンドライ工程を経てつくられていました。
一旦含水率を0%にまでし、その後5%程度まで戻していく大変特殊な木材乾燥技術です。
当然それが出来る機械も特殊ですし、乾燥プログラムの組み方や圧力のかけ方など、経験値もなくてはうまくいきません。
乾燥前のメルパウ。
高温乾燥処理後のメルパウ。
高温木材乾燥処理が出来るキルンドライ設備。
なるほど、だから寸法安定性が高いんだ。
サーモウッドの工程を経ている為、メルパウ材は深く濃い褐色になっていて、とても魅力的でしたが、日射を浴びてグレーになりやすいということであれば、仮にこのままで室内パネルとして使った時に日当たりの良い部分だけグレーになり、そうでないところは褐色が残り問題になるのでは…。
1枚の板で、室内で褐色のところとグレーのところが出来てしまってはマズイ。うーん。
じゃ、最初からグレーに退色させてしまえばいいんじゃないか?!
寸法安定性が高ければ、パネル材としての薄い断面に成形しても反りやねじれも起きにくく、かつ、グレーに退色するスピードが速ければ生産性も見込める…。
そんな偶然とも言える僕のひらめきが、この先、実は長く苦しい新商品開発スタートのきっかけとなるのでした。(苦笑)
続く。